近年はIoTと呼ばれる、インターネットを活用した技術が発展を続けています。
家電などはその最たる例ですし、最近では車や建物にもこのIoTを活用しようという流れが盛んになってきました。
このように、幅広い用途が期待できるIoTですが、実は防災にも役に立つ可能性を秘めています。
今回は、IoTを活用した災害予防について見ていきましょう。
日本は世界有数の雨大国
日本は海に囲まれている島国のため、湿気が多いことで知られています。
湿気は雲を生みやすいので、日本はほかの国に比べると雨が降りやすいです。
世界の年間平均降雨量はおよそ900mmですが、日本はおよそ1700mmと、およそ2倍の雨が降っている計算になります。
もちろん、東南アジアや南米といった降雨量がずばぬけて多い国に比べると少ないですが、日本は世界的に見れば雨の影響を受けやすい国と言えるでしょう。
しかも、この傾向は近年ますます強くなっています。
たとえば、100年前に比べて、1日に200mmの豪雨が襲ってくる頻度は1,4倍近くなっているというデータまであるのです。
ニュースなどでは大雨が降るたびに「100年に一度の大雨」などと言われることがありますが、これは決して誇張ではありません。
これからも日本に住むうえで豪雨対策をすることは欠かせないのです。
IoTがこれからの防災のカギを握る?
これまで日本はインフラの充実によってこうした豪雨災害を食い止めようとしてきました。
ダムを造ってたくさんの水を溜めるようにしたり、堤防を作って川の氾濫を食い止めたり、といった工事はその一例と言えるでしょう。
もっとも、こうしたインフラだけでは災害を食い止めきれない時代がやってきています。
まず、先ほども述べたように、日本に降る雨の量は年々増え続けています。
今あるダムや堤防は昔の雨の量を基準にして作られたものなので、必ずしもすべての豪雨災害には対応しきれません。
かといって、ダムや堤防を作り直そうにも膨大な予算を必要とします。
これからも増え続けることが予測されている雨の量に対抗してダムや堤防をその都度作り直そうとするのは、あまり現実的ではありません。
そのため、最近ではソフト面から防災を進めようとする動きが盛んになっています。
防災をするうえではハード面とソフト面の2枚看板で対応すべきだという考え方があります。
ハード面は、先ほどから取りあげているようなダムや堤防といったインフラの充実ですが、ソフト面は人間の知恵をうまく使いながら災害を乗り切ろうとする方法です。
洪水が起こる前に素早く避難したり、ハザードマップを作って住民に危険を周知したり、といった対策はソフト面の代表例です。
そして、IoTを防災に取り入れようするのもソフト対策の一例と言えるでしょう。
IoTはどのように防災に役に立つのか?
では、IoTを導入すればどういった防災が実現できるようになるのでしょうか。
まずは道路状況の監視にIoTを役立てるという方法が挙げられます。
たとえば、河川が氾濫を起こした際に一番に影響を受けやすいのが道路です。
洪水から身を守るためにも避難しなければいけませんが、その際に人々は車を使うにせよ、歩くにせよ、道路を利用しなければいけません。
その道路が冠水したり浸水したりしていたら、避難は簡単には行えなくなってしまいます。
冠水している道路で車を走らせたら水没の危険性がありますし、徒歩で道路を歩こうなどというのはもってのほかです。
こうした事態を防ぐためには、どの道路が冠水していて、どの道路が安全に通れるかという情報を収集しておく必要があります。
その際に監視カメラなどを設置し、あわせて水位などを計測できるシステムがあれば、現在の道路状況をスムーズに確認できるでしょう。
河川の氾濫もIoTで素早く察知
河川の水位などはさまざまな要因で変化するものです。
たとえば、朝方は雨がたくさん降っていたけれど、昼になるとやみ始めたという例を考えてみましょう。
これで一安心とは思ってはいけません。
というのも、上流で雨が降り続けていたら下流にも影響が及ぶことは必至だからです。
そのため、最近の水害では、ほとんど雨が降っていなかった地域でも氾濫が起こったという例も少なくありません。
ニュースでは他所の地域の川が氾濫したと言っているけれど、自分の地域は雨が降っていないから大丈夫、と思った結果、避難が遅れたという例もあるのです。
こうした事態を防ぐためには、刻一刻と変化する河川の様子をチェックし続けられるシステムを整備しなければいけないでしょう。
そこで役に立つのがやはりIoTです。
水位の観測システムを導入すれば、たとえば1時間後にはどのくらいの水位に達するか、といったことが簡単に予測できるようになります。
もちろん、ほかの地域の河川の状況と見比べながら複合的に今後の状況を予測することもできるでしょう。
こうしたシステムを整えれば、河川の異常を事前に察知できるようになり、住民に素早く避難を呼びかけられるようになるでしょう。
インターネットを駆使して住民に避難を呼びかける
近年は水害が各地を見舞うことが多くなりました。
その際、近くの河川が氾濫する危険があるとスマートフォンに通知が来たことがあるという人も多いでしょう。
実はあれもIoTを防災に活かしている事例の一つです。
従来は、こうした避難の呼びかけはテレビやラジオ、あるいは自治体の消防団などに委ねるしかありませんでした。
とはいえ、テレビやラジオなどの情報はリアルタイムでは伝わらないため、素早い情報伝達は難しいです。
中には出先にいるせいでテレビやラジオを見ることができないという人もいるでしょう。
そこで活躍するのがスマートフォンです。
スマートフォンでは自治体の勧告をリアルタイムで受信できるシステムが整備されているので、スムーズな情報伝達ができるようになりました。
IoTを活かして職員の危険も除去
台風や豪雨が訪れると、農家の方々が田んぼの様子を見に行こうとした結果、被害に遭うというのはよく知られた話です。
最近ではいかに作物が大事でも様子を絶対に見に行ってはいけないと周知されたため、こうした被害は少なくなってきました。
一方で、どうしても災害を襲う町から避難できない人々がいることも忘れてはいけません。
たとえば、先ほども取りあげた消防団員などはその最たる例と言えるでしょう。
彼らは災害が間近に迫っていようと、地域住民に避難を知らせるために各戸を巡回しなければいけません。
それ以外にも、それこそ田んぼの様子を見に行っている農家がいないか、川の近くに人がいないかなどをチェックする仕事も行う必要があります。
災害のたびに少なからぬ死者が生まれますが、こうした巡回作業の過程で死に至る人々が少なくないのも事実です。
こうした巡回作業は、IoTを導入すればいくらか負担は軽減できるでしょう。
地域の各所に監視カメラなどを設置すればどこに人が残っているかは簡単に確認できますし、スマートフォンなどで通知すれば、わざわざ一戸一戸を訪問する必要はありません。
IoTによって人命は今まで以上に安全に守ることができるようになるのです。
まとめ
最近は毎年のように日本を災害が襲うようになりました。
こうした事態に対して一つの対策だけで満足するようでは、災害を乗り切ることはできないでしょう。
防災グッズを整えることやダムや堤防を整備することも大事です。
とはいえ、それだけでは足りないので、IoTなどのようなツールもうまく活かしてこそ安全は確保できるようになるでしょう。
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